COLORS【白】W ─ダブル─
「桜ぁ〜!早く走らないと遅刻しちゃうよ!」

「分かってるけど……きゃっ!」


──ドタっ……バラバラバラ。


はい、遅刻決定。

桜は落ちていた小さな石に躓き、転んだ拍子に手に持っていた画材入れを道路に思いっきり広げてしまったのだった。

「痛ぁ〜い」

「もう!桜は世話がやけるんだから」
私が姉に間違えられる理由。
それは──桜が人並以上におっちょこちょいだからかもしれない。
普通、小さな石に躓く?

「ごめん……だって桃ってば足早いんだもん」

常備していた絆創膏をスカートのポケットが取り出すと膝にぺたっと貼ってみせた。

見た目はそっくりの双子でも足の早さや性格、頭の善し悪しは若干?異なっていたりする。

「あんたが遅いのよ。ほら!早く画材拾い集めないと……」

「オス!朝っぱらから姉妹喧嘩か?」

「穂稀っ!」
こいつは秋月穂稀(あきづきほまれ)。私たち三人は幼なじみなのだ。

「珍しいな〜お前らが遅刻なんて」

万年遅刻魔のあんたに言われたくないわよ。

「そうだ!いいとこで会ったわ!桜のことお願い!」

あと五分!
全力で飛ばせばなんとかなる!……かも。

「お、おい!」

「じゃ!よろしくね〜!」

それと、もう一つ。
桜は彼のことが好きなんだ。
< 3 / 16 >

この作品をシェア

pagetop