先生は女子高生!?
 ガラッ。

「あら。」

 目の前に立っていたのは、どー考えても中学一年生にしか見えない男子。

「…一年?」

「は?」

 見かけによらず低い声。

 まさか…。

「さん…ねんせい?」

「馬鹿にしてんのか。」

 どんぴしゃ!!

 嘘、私より年上だなんて!

 だって身長は私とそんなに変わんないし。

 目なんか丸くてくりくり。

 髪の毛はサラサラ。

 シャツはぶかぶか。

 女子の先輩なんかに好かれそうなタイプ。

 …黙ってたらね。

「つーか早く入れてくんね?
 
 俺、怪我人なんだけど。」

「あ…ごめんなさい。」

「あっ、君の名前教えて。」

「は?」

 げっ、めっちゃ睨んでる。

「名前。

 名字でもいいから。」

「渡部俊。」

 めんどくさそうに自分の名前を言うと、

 彼はベッドに飛び込んだ。

「熱あるの?」

 冷蔵庫の中から、冷えピタを探しながら聞くと

「アンタ保険医なんだから、わかるだろ。」

 にっくーい返事。

 初めて見た子だけど、本当に嫌な奴だわ。

「じゃあ、熱測らせてもらいますね。」

 冷えピタをポケットにしまいこみ、体温計を探す。

 あった、あった。

「はい、渡部く…。」

「あっ…。」

「きゃ――っ!!」
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