眩しい君
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翌日、俺は昼に近い時刻に起きた。
今日も夜番かー……。
眠い身体を無理矢理起こし、ベッドから降りると足元に飼い猫のクロが寄ってきた。
名前の由来は、単に毛の色が真っ黒だから。
艶々な毛並みで、瞳は綺麗な緑色のクロ。
働いて働いて、お金が貯まった俺は自分でマンションを借りた。
そして野良猫であるクロを拾い、そこで一緒に暮らしている。
「今日も夜は居ないからな。留守番頼むぞ」
そう言うと、クロは返事をするかのように「ニャー」と一鳴きした。
そして夕方の五時頃、少し早めだが洋服に着替えて部屋を出た。
そしてマンションの廊下を歩いていると………
ドンッ
ちょうど曲がり角から出てきた人とぶつかってしまった。
危なっ。
そして「すみません、」と謝ってきた人の顔を見ようと振り返ったら………
びっくりした。
「…………絢乃?」
「……え?」
「………絢乃、だよな」
「な、んで、私の名前を……」
そこに居たのは、中学の同級生の絢乃だった。
しかも、誰かを連れている。
目線を下にずらすと、
まだ小さい女の子。
俺をじっと、ただ見つめている。
「………もしかして、晴斗?」
「……ああ」
「…久しぶり、だね」
絢乃は柔らかく微笑んだ。
茶色い髪は緩くウェーブがかかっていて、メイクもしている。
中学の頃と比べると大分大人になっていた。
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