Last Wing



「…この歌、俺知ってる」


無意識に体が動いてプレーヤーに近付きスピーカーの部分に手を添える。


ああ、あの子の歌だ


あの時のあの子の歌だ


《どうして、知ってるの?》


瞳を不安げに揺らしながら俺を覗き込む美音に微笑みかける。



「この子が誰かは知らないんだけどさ、



―――見たことがあるんだ」


歌っている姿を


「俺を、今の俺を、導いてくれたんだ」




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