Last Wing
車椅子を進めて、美音に近付き手を伸ばして美音の顔を両手で包み込む。
ふふっ、と擽ったそうに身を捩らせ美音も俺の手に自身の手を重ねた。
あぁ、なんだか
「美音」
泣きそうだ
涙が濡らした瞳がきらきら輝いていて、その中に映っている俺と向き合う。
無意識に一滴の涙が俺の目から零れた。
……―なんで、泣くの?
美音の声が、聞こえた気がした。
「なんか、止まんねぇ」
ははっ、と笑うと美音が俺の涙を人差し指で掬った。
……―祐樹に出会えてよかった
初めて聞いた君の声は
澄んでいて、柔らかくて、あの時の天使の声のようだった。