Last Wing
「……お前…」
そう言い掛けられた時、屋上のドアが開かれた。
………今日は、訪問者が多いな…
「川嶋くん!もう、こんなところに居たんですか!?探しましたよ!」
女性が汗まみれになって近づいてきた。
カワシマくんと呼ばれた少年はまだあたしを見つめている。
だから、じっ、と見つめ返すと不意に目を逸らされた。
あたしとカワシマくんの間に入るように女性は車椅子を押す。
「病室に戻りますよ!」
「…………」
二人が出ていったあとでようやくいつもの静寂さへと戻った。