Last Wing
そのまま、どれくらいの時間が経ったのかわからないけど。
空は少し赤く染まり始めていた。
「美音」
「っ」
そんな空間に響き渡ったそれに無性に泣きたくなった。
「やっぱ、ここか。」
祐樹は目を細めてあたしの目の前にあるものを見る。
「水も肥料もちゃんとやってっから、生き生きしてるなー」
笑ってそう言う祐樹をあたしは真正面からみることができない。
俯いていた顔を上げて、それを見ると、まるで「がんばれ」とでも言うように
名無しの花は揺れた。