Last Wing
ふわ、とした色素の薄い栗色の髪に色白の肌。病的なほど細い手足。
そして長い睫毛の奥の真っ黒な空っぽの瞳。
薄いピンクの唇からは一言も発されなかった。
「美音ちゃん、可愛いでしょう?だから仲良くしようとする男の子多いんだけど…」
なんか、人間じゃないみたいだった。あいつ。
人間なんかよりもっと…
「やっぱり……ね…」
悲しそうにため息をつく看護婦を見上げる。
「やっぱり……なんすか」
看護婦は重く口を開く。
「あのこ、今喋れないのよ」