Last Wing
先生も見たがると思うから、とナースステーションに行ってしまった美音を待つ間、俺と瀬那ふたりきり。
「なんで、イタリア?」
「……短期留学」
でも、前よりは話すようになった、筈!
「…今は、無理だから俺が美音の代わりに音に触れてきて、美音に伝える」
ぽつり、と呟いた声を俺は聞き逃しはしなかった。
音に、触れる?
「それ、どうゆう意……」
そう言い掛けた途端に美音が入ってきたので、口を閉じた。