Last Wing
リハビリの時間だ、と急いで部屋を出ていこうとする祐樹を笑いながら見送った。
「……美……音…?」
いつまでも祐樹の背中を見つめていたあたしは、瀬那に気付かなかった。
《瀬那、イタリアの話し聞きたいわ》
「そんな目、今までしなかったのにね」
悲しそうな、辛そうな、……悔しそうな顔をしながらあたしを撫でる瀬那を見上げる。
《瀬那?》
「そうだ、イタリアの話し!美音が歌ったホールの写真もあるんだよ」
瀬那、どうして、そんな顔をするの