Last Wing




中庭に連れ出し、俺は瀬那の言葉を待つ。


「………」


ずっと背中を向けていた瀬那が何かを呟いた。


「え?」

「……ずるいよな、お前。美音の話を聞けば美音のこと分かったつもりなんだろ?」

「………ずるいよ。だけど…っ俺っ!」

「美音がどれだけ辛い日々を過ごしてきたかも知らないくせに!」


知らない、
知らない、だからこそ。



「知りたいんだ」



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