Last Wing
雛鳥のように稚魚のように
「美音」
静かに何日かぶりの美音の病室へと足を踏み入れる。
勢いよく何かを見ていた美音が顔を上げた。
《祐樹!久し振りっ!》
はしゃぐ美音の横を通り過ぎ、窓辺の机へと近付いた。
そして、ある物に手を伸ばそうとしたのが分かったのか美音が焦り出した。
だけど、俺は素早く、それを手に収める。
「っ!」
美音が泣きそうな顔をしたのが、視界に入るけど、俺はただそれを見つめる。
幼い美音と
美音によく似た今の俺たちより少し歳上の女性の写真。