Last Wing
《…瀬那?》
「え?」
《瀬那に聞いたの?》
俯いた美音の表情は全然読み取れない。
「……瀬那からは、お姉さんが居たけど、……亡くなってるって事だけ」
それは、美音の悲しみの上辺の部分でしかない。
全部知りたいなら、美音に聞いて。そう、瀬那は最後に言った。
「美音を知りに来た。」
「!」
ばっ、と美音が顔を上げ前髪の隙間から覗く涙に濡れた瞳を見つめる。
「美音を教えて。知りたいんだ、美音のこと。もう……振りだけじゃ嫌なんだよ。」
俺の言葉が合図のように瞳からは涙が零れ落ち、俺は美音を抱き寄せた。