Last Wing




そんな中であたしをあたしとだけ、“笠置美音”として見てくれたのはお姉ちゃん。

八歳上の、お姉ちゃん


『沙耶香は音痴だね、って友達に言われたの!美音ちゃんはあんなにすごいのにって!でも、美音お料理は下手っぴだもんねー?』


花のように笑い
鈴のような声であたしを呼び
風のようにあたしを包んでくれた


『美音、リンゴ食べる?うさぎさんに剥いたげるっ!』


風邪ひいたときに看病してくれるのもお姉ちゃん、


『子守唄歌ったげよっか?え?逆に寝れない?……美音ちゃーん?』


夜寝れないとき抱き締めてくれたのはお姉ちゃん、


『大丈夫、美音ならできるよ』


コンサートの前に不安になった時手を握ってくれるのはお姉ちゃん、


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