Last Wing




瀬那を見送って病室へ帰る途中に初めて祐樹、と呼ばれたことに気が付いた。


まあ、一番最初にも呼ばれたけどあれは瀬那の猫かぶりだからな…


「あ、美音」


同時に思い出したことがあり、美音を呼ぶ。



なに?とでも言うかのように美音が首を傾げた。



「瀬那に俺のこと聞かれたろ?何て答えたの?」

気になるし、やっぱ。


しかし、ボン!という効果音が似合うような勢いで赤くなった美音は俺を残して先に走っていってしまった。


「だから、俺、怪我人だっつの!」

そう叫んで必死に逃げる美音を追い掛けた。











《祐樹は、何がでてくるかわからないびっくり箱みたいな存在。…だけど、そのでてきたものは全部キラキラしている宝石みたいだから……あたしの宝箱みたいな存在なの》



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