Last Wing
「美音」
《あたしの手を引いて、連れ戻してくれた。……目を開けたら、隣に祐樹が寝てたんだ》
ありがとう、と俺の胸に顔を埋める美音を再度抱き締める。
「美音、……伝えたいことがあるんだ」
《…良いこと?悪いこと?》
その問いに苦笑しざるを得ない。
「俺にとっては、かけがえもないこと。…美音にとっては……」
その続きは思わず口をつぐむ。
《大丈夫。祐樹にとってかけがえもないことなら、きっとあたしにとってもかけがえもないことだよ》
優しく笑う美音に泣きそうになった。