Last Wing
小さい頃は想像もつかなかったぐらいの和やかな僅かな時間を過ごしたんだと思う。
気付いたら祐樹のリハビリルームの前に立っていて、祐樹が笑って手を振ってくれていた。
『おかえり』
そう、祐樹が言ってくれたから。
あたしの居場所は、もうあそこじゃなくて、きっと―……。
《祐樹の隣…なのかな》
「何が?」
《なんでもないよ》
なんだよー、とあたしのことをつついてくる祐樹に笑う。
この幸せな時間がずっと続けばいい、って思ってた。
ううん…思いたかった。
だけど、幸せは…長くは続かないものなんだね。