Last Wing
目を擦って涙を拭う。
その手を祐樹のお母さんは優しく止めた。
「そんなに擦ったら赤くなっちゃうわよ」
もう一度、顔を上げるとフワリと撫でられる頭。
「美音ちゃんの居場所、ずっとここにあるから」
小さく頷く。
「だから……いってらっしゃい」
不安になった時は戻ってきても良いですか。
強くなれたら、また……愛しい彼の隣にいても良いですか。
「みのーん!バスー!」
あたしは再び深くお辞儀をして、祐樹のもとへ走った。