Last Wing
美音が落とした涙の跡に俺の涙が重なる。
美音、違うよ。
縛り付けて鳥籠の中に入れていたのは、俺だよ。
美音を手放したくなくて、手を離さずにいたのも俺だよ。
失いたくなくて、繋ぎ止めたくて、美音を解放してやれなかった。
美音の笑顔が俺の傍にあるなら、どんなことでも頑張れる気がしたから。
「…勝手に…いなくなんなよ…」
消えないで、美音。
「俺、どうしたらいいんだよ」
封筒を覗いたら、まだ何か入っていた。
「………っ」
一枚の青空の写真に裏には一文。
「…美音こそ、待ってろよ」
決意と共に手紙をポケットに捩じ込んで、美音の部屋を出ていった。