Last Wing
渋々着いていった彼の後ろ姿をじっ、と見ていた。
翼を奪われた傷跡が見えた、気がした。
―――……
――…
あ、また居る
いつものように彼はあの場所に居た。
この前から五日も経った今でも彼はリハビリを始めていない。
そして、いつものようにあの女の人が大きな声をあげて、やって来るの。
彼がリハビリをするも、しないもあたしには関係ないけれど
あの女の人が来るなら別。
あたしは、人の声が聞こえないから屋上にきているのに、
あたしは顔をあげて、彼を見つめる。