Last Wing
全速力で走って、汗だくのあたしを見て先生は目を丸くした。
でも、次の瞬間何故だかふわりと笑って一枚の封筒を差し出した。
「…行くのね?」
「!」
「中身は瀬那くんからのプレゼントよ」
───……
『先生、美音に祐樹からの荷物が届いたら…今日からちょうど一週間後にこれを渡してください』
『え、どういう…』
『……祐樹のもとへ行くための鍵です』
『瀬那くん、今直接渡した方が』
『俺は今から帰国します。音…、美音に届けなきゃいけないからね』
───……
「行くのよ、美音ちゃん」
「………っ」
「行かなきゃいけないんでしょう?」
こくり、と頷いて封筒を受け取り久しぶりの外界へと飛び出した。
「ちょ、…先生っ!美音ちゃん出ていっちゃいましたけど!」
「……見えた…」
「え?」
「……美音ちゃん、見えたわよ」
天使のような白い翼が。
貴女の背中に。