Last Wing



ギリギリになって、電車に乗り込んで指定された座席に向かうと何故か人混みができていた。


……なに?


もう一度、そこか確かめてみると確実にその人混みが出来ている座席はあたしの場所。



戸惑って、立ち往生しているとその人混みから駅員さんみたいな人が歩いてきた。


「カサギミノンさんですか?」


こくりと頷くと、良かったー!と笑いかけ座席を指差した。



ああ。


「この座席を予約された方にこれを当日置いてくれって頼まれまして」


瀬那、ずるい。


「置いたら人混みができてしまい、申し訳ありません」





そこには、いつもと同じように高貴な雰囲気をまとい、光を浴びたファレノプシスがあった。




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