Last Wing
「だ…っから…言っちゃ…ダメだっ…て」
「無理、俺だって言い足りないもん」
二度、助けられたね。美音には。
どちらともサッカーをやめそうになった時。
一回目は河原。二回目は病院の屋上。
どちらとも助けられた。
「ゆ…き、……ごめんなさい」
「ごめんなさい、じゃなくね?」
君の歌に
君の笑顔に
君の存在に
「……ありがとう」
「ありがとうでもない」
ありがとう、もごめんなさい、も俺の台詞だ。
天使を独占するなんて、狡いんだろうか?禁忌を犯しているのだろうか?
ねえ、それでも……
「…た…だいまっ」
「当たり。…おかえり、美音」
この翼があるのなら、どこまでも飛べるから。
恐いものなんて、きっとない。
この翼は、きっと最後の翼。
神様に貰ったものじゃない。自分たちで羽ばたかせた俺たちだけの翼。
笑顔も涙も苦しみも喜びも。
全部、翼と共に。