Last Wing



俯いた瞬間、車椅子を押していた看護婦さんがあ、と声を洩らす。



顔を上げると、



「……………あ、」



彼女と目が合った。



まだ、うっすらとしか開いていないけど



確かに俺が彼女の瞳に映っていた



「川嶋くん、病室に一回戻ろうか?美音ちゃんも意識戻ったみたいだし、ここもバタバタして邪魔になっちゃうし…」

「はい、」



思わず、曇りだした目元をごしごしと袖で擦る。



「笠置…美音…かぁ」


小さくそう呟いた。



< 38 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop