Last Wing
「美音、」
ドアが開かれ、今ずっと考えていた人が入ってきた。
「植えにいかね?」
どうして、
なんで、いきなり、
あたしの世界に入ってくるようになってしまったの?
「…調子、悪ぃか?」
返事をしないあたしを眉を下げて、覗き込む彼の目をまっすぐ見ることができないの、
《大丈夫》
「そうか?じゃ、行こうぜ!」
《うん》
大丈夫、と言った瞬間に笑ってくる貴方にあたしはどうしたらいいか分からない。
あたしと一緒な翼を失った彼は、最初会ったときの荒々しさなんて嘘だったかのように穏やかになってしまった。