Last Wing
耳に何百という人の声が入ってきて、頭の中でこだまする。
やめて、
しゃべんないで、
静かにして、
それを叫べたらどんなに楽か、
だけど口から洩れるのは擦れた息
壁に手をついて、寄り掛かりながら歩く。
人が、いないところへ。
あたしだけの、ところへ。
エレベーターに倒れこむように乗り、最上階までいく。そして、階段であたしだけの場所へ。
扉を開けると、真っ先に日光が飛び込んできて。
………やっぱり今日は青すぎる。
だけど、屋上にはなんもあたしを苦しめるものなんかない。