Last Wing



耳に何百という人の声が入ってきて、頭の中でこだまする。



やめて、
しゃべんないで、
静かにして、


それを叫べたらどんなに楽か、



だけど口から洩れるのは擦れた息




壁に手をついて、寄り掛かりながら歩く。



人が、いないところへ。
あたしだけの、ところへ。



エレベーターに倒れこむように乗り、最上階までいく。そして、階段であたしだけの場所へ。




扉を開けると、真っ先に日光が飛び込んできて。


………やっぱり今日は青すぎる。



だけど、屋上にはなんもあたしを苦しめるものなんかない。



< 7 / 367 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop