Last Wing
今日初めて息を吸ったとでも言うように思い切り空気で身体の中をいっぱいにした。
音なんてひとつもしない。窮屈さなんか感じさせない。
………おかしい、ね。苦しくないなんて。
自嘲気味に口元を歪ませる。
あたしを“捨てた”空の真下にいるのにね。
目を細めて、空を見上げる。
………ねぇ、貴方は今日も誰かを“捨てたの”?
ふぅ、と溜め息をつき、あたしがいつも居る場所へ歩いた。
地面を見て歩いてたけど、この空間にあるはずのない音によって前を向く。
ガシャン……ッ
怒りや憎しみ、悲しみが混じった不協和音。