続きはご想像におまかせします


「ただいま」

水泳の練習から帰ってきた、光一と父。

「いやぁ、よかったねぇ、
あの泳ぎは。

もう、バタフライ集中でもいいんじゃないか?」

「まだだと思う。

腰が安定してないんだよ。

やっぱ、スピードだけしか求めてなかったら、
どっかで挫折する気がする。」

「じゃ、明日からドルフィンキック集中だな。」

「はい、コーチ。」

……そう……。

もう父は、『あたし達のお父さん』じゃない。

『光一のコーチ』なんだ。

こんな二人の間に入って、
小説の話なんかできるわけないじゃん!

「ふざけんなよ。」

あたしはいつもみたいに、自分の部屋で狂い出した。


もう無理!

水泳関係の話を聞くだけで、
どうしてこんなになっちゃうの?

水泳の話を聞いてない時は何ともないのに、
少しでもこうなると、
発作起こしたみたいにあたしの体は暴れ出す。

「なんで、なんで? なんで?」

あたしは布団に倒れた。


そう……あたしは親戚からもらったボロボロ布団で寝てて、
光一は新しいベッドで寝てる。

なんで?

何でも、光一優先。なん……
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