続きはご想像におまかせします
どうやらここは、
彼の部屋。

「出掛けるんじゃなかったの?」

あたしは少し緊張し出した。

意識なんかしてないけど、
男子の家って初めてだから。

「たいした用じゃないから、
ドンマイってことで。」

「へぇ……。

ってか、おじいちゃんと暮らしてるんだね。」

「あぁ。二人暮らし。

ま、本当のじいちゃんじゃねぇんだけどさ。」

「え?」

「おまえが俺とある契約をしてくれれば、
そのことについても、あの本のことについても、
こないだの事件についても……
全部話してやるよ。」

藤野は得意げに言った。

「『ある契約』って?」

あたしは首を傾げた。


ホント、これ、現実なのかな……?

なんか、映画の主人公になった気分。

ハリウッド映画のファンタジーみたいな奴。

……大げさか。

「俺と……」

「……?」

「付き合うこと!」

藤野は聞き取れないほどの早口で言った。

「け、契約だよね?」

あたしはからぶき雑巾みたいになったのどから声を出した。

「言い方悪かったか。

じゃ、『契約』は取り消しだ。


でも、『付き合ってください』はマジ。」

意外にも平然と言う藤野。


あたしの頭はぐちゃぐちゃになった。

いくら『取り消し』でも、
『契約』とか言われたら普通キレるはず。

いつもどおりのあたしなら。

でも、今はそんなことできない。

『好きだから』……そうじゃなくて……そうじゃなくて……。
< 118 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop