続きはご想像におまかせします
トントン――。

誰かに肩を叩かれた。


僕はゆっくりゆっくり振り返った。

「あ、はい……?」

後ろにいたのは、多分僕と同い年の女の人。

身長は少し低めで、目はパッチリの色白。

美人とかかわいいとかそういう印象は持てないけど、
人間らしいっつぅかなんつうか……。

「こないだは、いきなり『死ね』なんてすみません。

メールした者です。」

彼女は大きな目で僕を見上げた。

「どうも……。」

少しだけドキンとした。

「本当に会っていただけるなんて思っていませんでした。

幸せです。」

「……あなたは?」

「『霊界から来た』と言ったら大げさですよね。

『天国から来た』と言ったらベタですし。」

「……。」

怖いとは思わなかった。

なぜか、この状況がよく理解できているような気がする。

「あなたのクラスのある人が、
私をあなたに会わせてくれて……。」

「誰です?」

「藤野和人です。」

「……。」

『藤野和人』。

いたなぁ、そんな奴。

僕に何度か声掛けてくれたっけ。

女子達にキャーキャー騒がれてたような印象がある。

「ごめんなさい。立ち話ですね。

あそこのベンチに座りません?」

彼女は近くの赤いベンチを指差した。

「あ、はい。」

僕はついていった。
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