続きはご想像におまかせします


ある日。

「消しゴムなくなった。」

僕は何気なくお金を持って外に出た。


ビクッ――。


家のドアを開けると、
すぐ近くに藤野和人が立っていた。

「あ……」

僕は少しだけ後ずさりをした。

「愛里、泣いてたよ。」

藤野和人は無表情で言った。

「裏切ったんじゃないよ……ただね……」

「いいよ。

別に。

俺のことじゃないし。」

「……。」

「なんか、ごめんな。いろいろと。

……世間では……まぁ、そんなに有名な話じゃないんだけどさ、
『黒沢愛里の自殺の原因は不明』ってことになってるんだ。

知ってるか?」

僕は首を横に振った。

「あいつ、面倒なとこあるけど、
死んではほしくなかったっつぅかなんつぅか。

完全に生き返らせることなんかできなかったけど、
もう一度話したかったから……そしたら、こういう結末に。

『合う人探してきて』なんて言われるとは思ってなかったしね。」

藤野和人は頭をボリボリかいた。


いきなり話し出して、そんな何でもないしぐさをする……
それだけだけど、『彼はやっぱりモテるんだなぁ』と僕は思う。

謎な人だけれど、特別な人ではないような気がする。

『魔法を使える』……とてもそうは思えない。
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