続きはご想像におまかせします
「し……知らないから!」

石垣絵里が叫んだ。

「え?」

「何がしたいわけ?

あたしにそんな本渡して。

藤野はなんでもできるんだよね?

けど、あたしにそんな力なんてないよ。

やりたいこともやらなきゃいけないことも、
あたしには山ほどあるの!

そんないたずらなんかに付き合ってらんない!

魔法使えるなら時間返せよ!」

「……。」

石垣絵里……そんなにしゃべる人だったっけ?

ってか、『やりたいこともやらなきゃいけないことも』って、
真面目すぎるよ。

「ちょっと外見がいいからって、調子乗んな!

何しても誰からも好かれると思うなよ!

あたしは好きじゃないから!

『宇宙人』だってことはもう信じられる。

けど、だからって何でももしていいわけ?

違うだろ!」

あたしの藤野に説教か。

石垣絵里、ずいぶん強いな。

「小出だって、どんな気持ちで藤野のこと助けたと思ってんの?

明美だって、相当怖かったはず。

いたずらで人を振り回すなよ!

なめんじゃねぇよ!」

「……。わりぃ。」

藤野が謝った?


あたしは何度もまばたきをした。

「ごめん……帰るわ。」

石垣絵里が階段を下りる音が聞こえる。
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