続きはご想像におまかせします


ドキドキ――。


あたしの体は、少女漫画の主人公のようになっている。

顔は真っ赤、
目はパッチリ、
胸はドキドキ……。

「おう! 来てくれてサンキュ。あがれよ。」

藤野は自分の家の本屋の前に立っていた。

「どんくらい待った?」

あたしは声を絞り出した。

「ん……五分くらい?

そんな待ってねぇよ。」

「よかった……」

笑顔を作るのがこんなに大変な時があるなんて……。

今になってわかること、多過ぎる。


あたし達は藤野の部屋に入った。

「ま、狭いけど、
その辺座ってくれよ。」

「うん。」

あたしは前と同じ場所に座った。

「早速なんだけどさ、
今から俺が言うこと、冷静に聞く覚悟はあるか?」

えっ?

つまり、動揺する可能性があるってこと……?

「……あります。」

正直、自信はない。

けど、自信を持ちたい。

「じゃぁ、どんなこと言っても信じる覚悟は?」

「……あります。」

「もっとハッキリ言えよ!」

「『あります』!」

「わかった。」

全身が大きく脈打っている。

体中に心臓があるような気分だ。

「よし、じゃぁ、一言で言う。」

あたしはゴクンと唾を呑んだ。

「……。」
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