続きはご想像におまかせします
「なんで言いたいこと言わないのっ?

あたしのこと思い切り責めればいいじゃん!」

出てきた言葉はこんなにひどいものだった。


なんで?

『ごめん』――そんなに難しいこと?

「責めた方が、島村さん、楽になる?」

嫌なものばかりを映してきた彼の瞳が、
申し訳なさそうにあたしの顔を映した。

「そうじゃなくて……、
太田に、言いたいこと言ってもらいたいのっ!」

違うっ!

そうじゃない!

あたし、そんなこと思ってない!


どんなに心の中で叫んでも、
口は壊れたマシーンみたいに勝手に動く。

「責めてないから……安心してね。」

太田は、目を潤ませて、
あたしから一歩二歩と遠ざかり始めた。

「ちょっとっ!」

あたしがそう言った途端、
太田は走って逃げてしまった。


一人女子トイレに残されたあたしは、鏡に目をやった。

「何やってんのよ? バカ。」

自分が映った鏡を、あたしは一発殴った。

金髪男を殴った時の何倍も手は痛かった。
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