続きはご想像におまかせします
「おんなじなんだよ。」

彼女は急にキツい表情であたしに言った。

けだるく、静かに。

「え……?」

わからない。

この人の思考回路が。

「あんたがあたしを不良少年だと思ってビクビクしたみたいに、
悟にはあんたがいじめっ子にしか見えないんだよ。」

……。

『悟』って、太田?

「あんたがどんなに優しい言葉掛けようと、
今は届くわけないでしょ?

悟はいじめっ子のあんたが怖くてしかたないんだから。」

だから、あなたは誰?

「……悟の姉だよ。」

あたしの心の声を聞いたかように、
彼女はさらりと言った。

「おねぇ……さん?」

あたしは体が固まった。

「何ビビってんの?

やましいことでもあんの?」

「……。」

ありますっ!

あたし、謝りたくて……。

「わかってるよ。あんたが反省してるってことぐらい。」

優しい言葉なのに、
ものすごく聞くのがつらかった。

「謝りたいってことだってわかってるし、
いろんな気持ちと戦ってることだって、
全部わかってる。」

「……。」

「『いじめ』って何だろうね?」

小学校の道徳の授業でされそうな質問。

でも、あたし、答えられないし、答えたくない。

答えたら、自分が壊れてしまうような気がする。

でも、答えない自分に腹が立つ。
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