続きはご想像におまかせします
「それだけ。

……会えて良かった。

あたしの弟いじめる奴、
どんな奴か見てみたかったから。

勉強はできなさそうだけど、
バカじゃないよ、あんた。

あたしが言うんだから間違いなし!

……じゃ。」

彼女はいなくなった。


強いなぁ。

素直にそう思った。

なんか、人間ぽくない人……。

それに、あたしと正反対。

「やり直す?」

あたしは鏡に話し掛けた。

「泣いてみてもいいよね?」

そう言ってみた途端、
顔がくしゃっとなって、目から涙がこぼれた。


これがしたかったんだな。

あたし、しばらくこれしてなかった。

マジになると涙って出るんだ。


ホント……あたし何も知らなかった。

熱血教師の言葉に嘘はないよ。

『知るって楽しい! 楽しすぎると涙が出る!』――小学校の頃の先生の顔が浮かぶ。

言葉だけだと当たり前みたいだけど、
ホントは『当たり前』なんて存在しないんじゃない?

だって、あたし、今わかったんだもん。

みんなの言う、『当たり前』のこと。


でも……こんな状況に『楽しい』って言葉は絶対不適切だね。

……そぉだなぁ……『うれしい』?

またそれも違う。

……よくわかりませんっ!


だけどさ、今の気持ち、忘れたくないから、
『複雑な気持ち』ってことにして頭に残しとく予定。
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