続きはご想像におまかせします
ガチャン――。

追い出されたような気分だ。


問い詰めればよかった。

『何があった?』って。

なんで言われたとおりに出てきちまったんだろう。

嫌われたくないから?

……まさか。んなわけない。

んなの、俺らしくない。


「龍一?」

気付くと、目の前に明美が立っていた。

明美も制服姿だった。

「明美……」

「どしたの?

ここ、和人んちじゃん。」

「……。」

俺は俯いた。

「血……ついてるよ。平気?」

明美は俺の手首を指差した。

いつもより優しい声を出しながら。

「あ……」

俺はワイシャツの袖についた血をにぎりしめた。

多分、カズゥの血。

「龍一……」

明美の声が震えている。


でも、俺はそんなこと、どうでもよかった。
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