続きはご想像におまかせします
解説しておくね。


弟の光一(こういち)は小六で県内トップの水泳選手。

父は光一の通うスイミングスクールのコーチ。

母も光一のために水泳を始めた。

……あたしは水泳には無関係。


だから、あたし、
家でいつも孤立してる。


昔から、父は光一に『水泳』を奨めてた。

父の実家はみんな水泳やってて、
国際大会だの、
全国大会だの、
県大会だので、
すごい記録を残してる。

だからさ、受け継いでいかなきゃきゃいけないんだよね。

『水泳』ってやつを。


でも、あたしはやらなかった。


どんなに成績が良くても、
どんなにピアノができても、
『水泳』には勝てない。


もうわかるよね？

あたしがいろいろ努力してる理由って、
これなんだ。


家族に認めてもらえないことなんて、
もうわかってる。

でも、『光一のお姉ちゃん』って存在になるのだけは嫌だから。

最低でも、先生とか友達には、
『絵里』として見てほしいから。


ホントに思ってることって、
言葉にすると落ち着くんだってね。

それ、嘘じゃないよ。

証拠に……ほら、涙止まってきた。


まあ、そういうこと。

じゃ、誰にも見られてない今がチャンスなんで、
勉強始めます。

でわ。
< 92 / 236 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop