続きはご想像におまかせします


ピッポー、ピッポー、ピッポー――。

目覚ましがあたしの耳元で騒ぎ出す。


ああ、また始まっちゃうんだ、
一日が。

家では水泳の話、
学校ではいじめの話、
友達(多分)は恋愛の話……。

そんなつまんない一日が、
また始まるだね。

あたし、どこにいたって居心地悪い。

みんなあたしの知らない話してる。

でもね……あたし、好きな話なんてホントはない。

実は、何もないんだ。

やる気はあるのに何もないって……
矛盾してるみたいだけど、ホントのこと。


そんなことが頭を支配してる。


あたしはゆっくりと階段を下りた。

「おはよ。」

さりげなく言う。

「おはよぉ。」

母が明るく返してくれた。


そう、
あたし、家で嫌われてるわけじゃないんだ。

ただ、話に入れないだけ。


でも、もしあなたが『なんだそんなことで悩んでるんだ』って思ったなら、
それは完璧な勘違い。

ホントは唯一心を許せる存在のはずの家族と話が合わないって、
結構ツライよ。
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