図書室のラブレター



「ねぇ、さっぱり
分からないんだけど?」


「いいから
後ろ向かずに窓を見てみろよ」




言われるがままに
窓をのぞき見る。



でも見えるのは
やっぱりグラウンド。




「何か見えたか?」


「グラウンドしか
見えないよ」


「もう一度、見てみな」


「うん…」




そしてもう一度
言われるままに窓を覗いた。


でもやっぱりグラウンド。



今は誰もいない
グラウンドだけが見える。



やっぱり私には
見ることが出来ない。



この差は私が彼みたいな
大きな羽を持っていないからだ。



自由に縛られて
ありのままの自分じゃない。



だから彼には見えるのに
私は見られないんだ。




どこかに
羽は落ちていないのかな?


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