図書室のラブレター
Fate―宿命―
まだ、どこに彼がいるのか
分からない。
でも確実に
近づいていると感じていた。
でも心は
もう離れていたんだ。
龍慈君の手に
しっかりとつかまって、
進んでいく。
足取りだけが
しっかりとしていた。
砂煙は勢いを増す。
怒声も勢いを増していく。
頼りは龍慈君の手だけだ。
しっかりと握り返す。
この手を放したら
晴樹君のところには行けない。
「蓮実」
「え?」
龍慈君が呼びかけた声に
聞き返す。
周りの声がうるさくて
なかなか聞き取れない。
だから彼は私を引き寄せる。
そして耳元で言った。