図書室のラブレター



もう一度、大きな声で叫ぶ。


私に気付いたのか、
視線が交差した。


もう一度、
呼ぼうとした瞬間だった。


後ろから誰かに捕まる。


握っていた龍慈君の手からも
引き離される。




「いやッ!!」




自分が誰かに
捕まったのだと悟った。


力強くて身動きがとれない。




「はな…して…」




私は息切れ切れに訴えかける。


押さえつける腕は
しっかりとしていた。


そして逃げ出さないように
腰に太い腕が回された。


見なくても分かる。


大柄の男の人だ。


龍慈君の顔が
険しくなっていく。


晴樹君の顔も真っ青で、
血の気がなかった。



ああ、そっか。


私、とんでもないことを
してしまったんだ。


やっぱりお荷物だった。



声にならない声で、
『蓮実』と
晴樹君の口が動いていた。


< 183 / 293 >

この作品をシェア

pagetop