図書室のラブレター
「晴樹、
何考えてんだ?」
それだけで分かる。
龍慈君も
聞いていたことを。
「大丈夫か?」
龍慈君は優しく
声を掛けてくれる。
頭の中にはさっき
言われた言葉が
何度も繰り返されていた。
『俺と別れよう』
確かに彼は
私にそう告げた。
しかし言った言葉が
分からない。
意味が分からない。
分かりやすいように
彼はもう一度繰り返す。
『別れて欲しい』
こんな時だけ
伝わるように優しく言う。
こういう時だけ
優しくしないでよ。
彼は切なる願いのように
告げて行ってしまった。