図書室のラブレター
「言いなさいよー」
追い討ちをかけるように
詰め寄ってくる。
ど、どうしよ。
胸がはやる。
「…小説の中に出てきた話なんだよね。その主人公が何考えてるのかよく分からなくてさぁ。しかもね、遅くまで1人でいるし。何を見てるのか分からなくって」
私は思わず
苦し紛れの言い訳をしていた。
言い終わったあとに
やっぱり心は安堵していた。
「ふーん。
蓮実、今日はよくしゃべるね」
ギクッ
「そんなことない…よ?」
「そうかなー?
よく舌も回ってるしねー」
ギクリッ
「………」
何も言えなかった。
でも話すこともしなかった。
これだけは言えない。
2人の約束があるから。