図書室のラブレター
「良かったわね」
そう言って彼女は図書室を
後にしようと席を立つ。
私は思わず
引き止めてしまっていた。
「何?」
「あの、
名前教えてください」
気が付けば、
何を聞いているんだろう。
困らせてしまうだけなのに。
しかしあっさりと
答えてくれた。
そして、そのまま
図書室を去って行った。
「赤瀬 沙菜(アカセ サナ)さん」
私は彼女の名前を
くり返し呟いた。
そして走り出したんだ。
光に向かって。