図書室のラブレター



蓮実も自分で言った
言葉に気付く。



恥ずかしそうに
顔を赤く染めた。




「…そうだな」




俺は笑う。



こんなにも穏やかに
笑ったのは久しぶりだ。


そして少しして蓮実は
今日は帰って行く。



俺はその後ろ姿を
見送っていた。



愛しい彼女の後姿。



でも、
明るくて元気な後姿。



俺の好きな後姿だ。




「おい!」


「あ、龍慈」


「さっきから
ずっと呼んでんだけど」




どこか偉そうに
腕を組んでいた。



蓮実を庭に入れた犯人は
龍慈だとそこで確信した。


< 263 / 293 >

この作品をシェア

pagetop