図書室のラブレター



みんなが道をあけるのは
いつもの風景。



そして私たちを
じろじろと見るのも
いつもの風景だ。



そんな私たちを
気にしない結依。



その結依は前から
まっすぐに歩いてくる。



私は思い切って
挨拶をした。




「お、おはよ!」


「…おはよ」


「結依。
私、待ってるからね」


「…私だって、
嫌いじゃないよ…」




ボソッと
結依はつぶやいた。



私は思わず振り返った。



けれど
彼女の姿はもうなかった。



そして私たちが向かったのは
中庭のあまり人が来ない所。



私は全然、
人目を気にしない。



中庭でも食堂でも教室でも
どこで食べても全然大丈夫だ。



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