図書室のラブレター
Injury―傷―
最近、花井君は
毎日来てくれていた。
ちょっとだけだけど
話すようにもなっている。
意識し始めてからは
顔を見るのも
本当は恥ずかしかった。
でも彼は不良だから
誰にも相談できなかった。
アイツとは話さないことって
入学した時に結依と
約束したんだ。
だから親友にも話せないよ。
(まさか私が花井君と
話してるなんて誰も
想像できないだろうなぁ)
──ガラッ
扉を開けると
彼はもう来ていた。
いつもの席に座っている。
ただいつもと違うのは
外を見ていなかった。
ただ机に突っ伏していた。
窓から差し込む
夕日がまぶしい。
きっと金色の髪に反射して
よけいにキレイに輝いていた。
触りそうになった手を
引き止めた。
「こ、こんにちは」