図書室のラブレター



言いたい言葉を
思い切り遮られた。




――ねぇ、本当の事を教えてよ。




「そんなことな…!!」




私は花井君の
ありのままを知りたい。


でもそれは
出しゃばり過ぎたのかな。




彼の睨みつけられた黒い両目。


それは暗黒のように
真っ暗で全く光がない。




何も言えなかった。



怖くて怖すぎて足がすくんだ。




「悪りぃな。
良い奴じゃなくてよ」




それだけを言うと
出て行ってしまった。




いつもよりも早い帰宅。



それに今日って
窓から見ていたっけ?




不意に頭をよぎった。



でもそれはすぐに
かき消されていく。


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