図書室のラブレター
Fight―ケンカ―
私は何もできなかった。
ただその近くで隠れて様子を
見ることしか出来なかった。
花井君は大きな一息をつく。
そしてついに堂々とその倉庫に
一歩ずつ足を踏み入れていく。
緊張が伝わってきて、
ただ慌てる事しかできない。
何も出来る事はないのに…
正直、怖かった。
真実を知ることが、
見ることが怖かった。
私とは正反対の彼。
いつもの生活に
縛られている私。
違う世界に踏み入る事が
怖くて仕方がない。
勝手に
手も足も震えていた。
「…でも今は花井君を
追いかけないと!」
その想いだけを糧にして。
勢いよく
その倉庫に侵入した。